てんかん列伝


内容

  1. ドストエフスキー
  2. シーザー
  3. フィンセント・ファン・ゴッホ

 てんかんの有病率は0.5%前後と高率ですし,熱性けいれんも含めると,10人に7人は死ぬまでに何らかの形でてんかん発作を起こすという試算もあります.一方,てんかん発症は知的能力,運動能力にかならずしも影響を及ぼしません。ですから,てんかんに罹患し,かつ,歴史に名を残した人物がいても、なんの不思議もありません。
 アンリ・ガストーはてんかんに罹患していた歴史上の人物としてアレキサンダー大王,シーザー,ナポレオンなどの軍人・政治家,仏陀,パウロ,モハメッドなどの宗教家,ソクラテス,パスカルなどの哲学者,そして,バイロン,フローベール,ドストエフスキー,ゴッホなどの芸術家の名を挙げています。仏陀などは,なぜ名前が挙がっているのかもよくわかりませんが、しかし,中には、まず間違いなくてんかんをもっていたと言い切れる人物もいます。きちんとした発作症状の証言や記載があれば,てんかん発作の有無やその発作型はある程度推定できます。ですから、アレキサンダーのような2000年以上前の人物でも,信頼のおける発作症状の記録が残っていれば,脳波記録などなくとも,てんかん発作があったか否かの推定が可能なのです。
 ここでは,てんかんがあったとされている3人の歴史上の人物,ドストエフスキー,シーザー,ゴッホについてみてみることにします。

  1. Gastaut H (1978) Fyodor Mikahilovitch Dostoevsky’s involuntary contribution to the symptomatology and prognosis of epilepsy. Epilepsia 19:186-201
  2. Hughes JR(2005)Did all those famous people really have epilepsy? Epilepsy Behav. 6:115-39.
  3. Trimble M, Hesdorffer DC(2016)Representations of epilepsy on the stage: From the Greeks to the 20th century.  Epilepsy Behav. 57:238-42.
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